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30年ぶりに謝られた出来事

[2023.12.10]

「あのとき、二人からえらい怒られて、何で怒られてるかわからなかったけど、今はわかるようになったよ。」

大学の同窓会が開かれ、卒後30年以上で初めて参加しました。2浪して地方の国立大学にやっと入れた私には、現役で入学したクラスメートの頭の良さに驚いたものです。

そんな中で、細マッチョの美男子がS君でした。彼は入学後に「自分は医学部に受かったが、どうしてここにいるのかよくわからない」と言ったそうです。浪人を経験した私ともう一人のO君の2人で「お前は他人を蹴落としてここにいるのだから、そんなことを言うことは許されない」とお説教をしたとのこと。恥ずかしながら私は全く覚えていませんでした。テニス部でひときわモテる彼にやっかみもあったのかもしれません。

卒業後、いろいろと苦労され、この言葉の意味を分かるようになった。次に会った時には謝ろうと思っていた。と言ってくれました。S君はすっかり貫禄のある姿にかわっていましたが(当時の私は気づけなかった)誠実な気持ちを感じることができました。地域の中心的な公的病院の院長先生となってコロナ禍でも一生懸命頑張ってきたのだと言っていました。

友人たちの何人かは大学で教鞭に立つようになっていました。いまや大学は推薦入学が半数以上を占めるそうです。推薦を勝ち取るのも大変なのでしょうが、浪人や一般枠の競争試験を経て挑む人にこそ、ぜひ頑張ってもらいたい。順調な現役ストレート入学と違って、浪人時の迷いや不安な気持ちは必ずのちに人生の経験として帰ってきます。私はつい浪人生に肩入れしてしまいますが、S君から、そんな想いを教えてもらえました。

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