妊婦さんと赤ちゃんのインフルエンザワクチン(その1)
21年12月追記
ガイドラインでチメロサール添加ワクチンも妊婦接種に支障なしとの記載となりました。
産科婦人科診療ガイドライン2020(54ページに記載)
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2020.pdf
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赤ちゃんを連れたお母さんが「インフルエンザワクチン」希望として来院されました。しかし、問診票で、「妊娠中」と判明したため、残念ながら当院でのワクチン接種は見送りとなりました。ワクチンには様々なルールがあり、また、そのルールも時代によって変わっています。このお母さんとお子さんとのやり取りは他の方にも参考になるかと思い、やや長くなりますが、ブログにします。
お母さんには以下のような説明をしました。
〇妊娠中はどの段階でも「インフルエンザワクチン」は推奨されていること。
〇ワクチンには種類があり、当院で取り寄せているインフルエンザワクチンには「チメロサール」が添加剤として含まれている製品であること。(流通している大部分の製品が実はこれに当たります)
〇今の日本の基準では、妊娠中の女性には「チメロサール」が入っていないワクチンが推奨されているため、接種中止を勧告せざるを得ないこと。(※文頭追記参照:現在は変わっています)
を説明し、ご納得いただきました。最初のお子さんの時には産婦人科でワクチン接種を受けたとのことですが、産婦人科では(流通量の少ない方の)「チメロサールなし」のワクチンを採用しています。インフルエンザワクチンに種類があるとは、当然ですが患者さんはご存じではない情報でしょう。
実は、米国を含め、チメロサール含有ワクチンでも妊婦接種可となっている国も多くあります。ただ、そのことを知ってはいても、医師の個人的な見解で「国のルール」を破ることはできません。接種延期の判断となりました。
さて、皆が待ち望んでいる、「新型コロナウイルスワクチン」
防腐剤の役目を果たす「チメロサール添加剤」の扱いはどうなるのでしょうか?他国の状況を十分集めたうえで、判断がなされるのでしょうが、妊婦さんも含め、安全なワクチンが作られることを願わずにはいられません。
<厚労省「保存剤(チメロサール等)が添加されている
新型インフルエンザワクチンの使用について」の文章>
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu090918-04.pdf
(つづきます)