依存症を作るのに「物質」が不要な時代に
NHKスペシャルでギャンブル依存を特集していました。
以前放映された潜入取材から進んで、オンラインカジノの内部での情報処理など非常に丁寧に作られていました。
依存を学ぶと「脳内報酬系」「ドパミン放出」といった用語を学びますが、その成立にはいままで「薬物」が必要でした。たいていの物質は依存性があり、禁止薬物となっていますが、中にはアルコールと言った禁止されていないものも含まれます。
今回の報道では、物質によらない、オンラインでの「情報のみ」で「その人」を分析し、短期間で脳内報酬系を成立させ、ただちに「依存症患者」にさせてしまう手法が確立されていることが示されました。非常に強力なアルゴリズムで、そこからは誰も逃れられないと。
日常で出会う患者さんやその家族にも、こうした事情が隠れているかもしれない、それほど身近にこの危険が迫っている報道でした。
金儲けのために行っている犯罪集団というより、これは「兵器」としての側面もあるのではないかと感じられました。歴史を紐解くまでもなく、アヘンや麻薬で国の国力を削ぐことは兵士による戦争以上に効果的かもしれません。アルゴリズム開発者も「すごいものを作った!と思ったがとんでもないものを作ってしまった」と原爆開発者のオッペンハイマーのような応答を引き出していた印象的な番組でした。