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3月11日の家族の思い出

[2019.03.11]

8年前の地震発生時は新宿区内を訪問診療の最中でした。
その日の夜、訪問診療患者さんの安否確認をし、地デジを見ながら大久保の診療所に泊まったことを思い出します。

当時、診療所報に書いた記事です。家族の強い思い出の一つとなっています。
すでに8年が経過しましたが、未だ解決していない問題がいかに多いことか
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3歳の約束

 地震で大きな被害が出ました。被災された方に心からお見舞いを申し上げます。

 3月11日の夜、自宅に帰ることをあきらめた私は、往診をしている患者さんを中心に、診療所から回れる方には安否確認をしてまわりました。家では、妻がなんとか保育園にたどり着き、子供たちと自宅に戻っていました。3歳の息子に、「男はお前だけなんだから、ママとお姉ちゃん達をしっかり守るように」と、(電話が通じないので)メールをし、余震の続く夜を診療所で過ごしました。(このメールも当日は通じていませんでした)
 翌日午後、なんとか柏の自宅にたどり着きました。そのころには電話も通じたので、妻からは、息子は特に怖がる様子もなく絵をかいたりパズルをしていた。まだ3歳だから怖いとは思わないのかな?むしろ、姉たちの方が母親に寄り添って一晩中離れなかった。と聞きました。私は妻や子供たちの無事な姿を見てやっと安心できました。

 父親が帰ってきたので子供たちも少し安心したようで、外で遊ぼうと玄関で準備をしていたところ、また余震が起きました。すると、いままで元気だった息子が、靴を履いたまま家の中に駆け込んできて、私の足元で泣き始めました。

 その姿を見て、こんどは妻が泣いていました。「そうかー、やっぱり怖かったんだよねー。」
 3歳ながら、息子は父親の気持ちをしっかりくみ取り、家の女性たちに精一杯元気な姿を見せていたのだと、その時気づかされました。私も頑張ったつもりでしたが、我が家で一番頑張っていた男は、息子の方だったのだと感じた、一日でした。

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