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診断に伴う「責任」の問題

[2022.07.24]

外来への問い合わせで診療時間中には電話が「鳴りやまない」日が続いています。

体調が悪く、痛みや熱がある状態で、さんざん電話をしても受診できない。「医療崩壊」と言えます。

ただ、自宅で多くの人が重症化する昨年の夏のような状況ではありません。今年は、市販の検査キットが手に入り、市販の薬剤で治療できる状態です。つまり、医療機関にかからなくとも「診断」「治療」は行えます。保険診療ではないので費用は掛かりますが、自覚症状がつらいものではなく、重症化していくことが無ければ、何か所も電話をする、外来で長時間待つなどのストレスと比較しても、自己診断・治療も「有力な選択肢」だと思えます。

それでも、軽症者で来院しなければならない人がいます。それは「医療機関が証明機関になっている」からです。症状や経過から自分が陽性なのはわかっている、自覚症状もそれほどつらくない、しかし、会社や学校が証明を必要としている、傷病手当金をもらう、コロナ保険に入っている、こうした「感染証明」のために来院を必要とする人がおられます。

診断には「責任」が伴います。いままでは医療機関が診断を「独占」をしていたわけですが、検査キットを市販した段階で、証明責任をどこが行うかという難しい問題が表面化してきました。新型コロナに関しては、医療機関は「治療」に集中した方が効率は良いわけです。神奈川県などでは陽性判定は市販キットの自己申告、陽性証明は県が代行し、医療機関は治療に集中、といった大胆な方法が開始になったとのことです。(これにより受診抑制がかかるかは未定)一方で、保険金など金銭支給を伴う陽性証明については、どう扱われるかは不明です。7波ではそうした「診断の責任」にたいしても今までの価値観が揺さぶられています。

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