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現場で起きたことを知らせる役目

[2022.01.16]

「見せてやりたいだろう 違反してゴネる奴に、お前の頭にこびりついた光景を」「でも知らなくていいんだあんな光景、当事者にならない限り知らなくていい」

「その当事者を増やさないための俺たちの仕事だ」

赤ちゃんが死亡した交通事故現場を経験した主人公に交通課の上司が言うセリフです。(漫画「ハコヅメ~交番女子の逆襲」4巻第1話『トラウマ』 泰三子著・講談社)

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私は呼吸器科医として20年以上病院で勤務してきました。年間で5000枚以上の検診写真を見、病気を見つけ、治療にもあたってきました。検診で見つけなければいけない病気は肺がんですが、いまだに、その大多数は進行した状態で見つかります。そして、そのほとんどが喫煙者もしくは副流煙被害者(パートナーの煙を吸って暮らしていた方)に起きています。

手術でとり切れず、抗がん剤治療を行い、それでも徐々に悪化して最後は亡くなっていきます。子や孫に悲しまれながら、悔しいなぁといいながら、息を引き取る肺がん患者さんを多数看取ってきました。どうしてこんなことが起きるのか?タバコがもたらす健康被害を何とか無くしていきたい。そう思うようになりました。

交通事故と同様に、医療も非日常の場所です。そこで起きていることを、逐一リスクのある患者さんに知らせていては「おどかし」にしか映りません。ですが、患者さんの興味の段階に応じて、この行為を続けていればどのような結果になるのか?外来で工夫をしながら気持ちを伝えることがあります。私にそれを言わせているのは、病棟で見送ってきた多くの患者さんなのだと思います。

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立場は違っても考えていることは全く同じなのだと思えます。冒頭の漫画は、警察官の成長をコメディータッチで描いたものですが、特にこの回は運転免許を持つという意味を考えさせてくれる良質な作品となっています。アプリ等で無料で読めます。(講談社との利益相反はありません)

 

 

 

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