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災害医療と医師の心理

[2021.08.15]

感染拡大が止まりません。

都内で働く医師のSNSを見ていても、その深刻さが伝わってきます。しかし、現場・当事者以外には現場の感覚が伝わりにくく、お盆の帰省を迎えています。

この「感覚乖離」には見覚えがあります。「大規模災害」の現場で起きている感覚を思い出します。

阪神淡路で私が経験した事ですが、震災現場から帰って、新宿の街中でカップルを見たときに、激しい「怒り」を感じました。ぶつけようのない怒りで、自分でもどうしていいかわからなくなった感情でした。

現場では、目の前で死にそうな人がいて、その人に対して自分はプロとして依頼されてきたにもかかわらず、何もできない。できる方法も持ちえない。でも、ドアを開け、そこから立ち去ると、目の前にはそうした状況とは無関係に平和に暮らす人が街にあふれている。このコントラストに自分の気持ちがついていけないのです。

震災では、被害が見えやすく、報道もしやすいですが、感染疾病はプライバシーが優先され、状況が伝わりにくい側面があります。同じ地域に居てもワクチン接種により分断が起きやすい要因もあるかもしれません。

災害時には、被災地以外でも席を譲る、列を守るといった社会規範がふだんより守られていたとの観察もあります。現場の医療者・感染当事者に我々が想いを寄せることができれば、体調が悪ければ外出しない、休んでも構わないと伝えるなど、社会的な「感染防止規範」が守られるのではないか?そう思います。

そして、今、病院や在宅で頑張っている医療者の「心」を心配しています。

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