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医学の進歩は医師の経験不足につながる

[2022.06.25]

リウマチの専門医の本で「(病気が進んで)変形した手を見ることがなくなった」と書かれていました。10年ほど前から免疫の薬が進歩し、リウマチも早期から治療が開始されることが一般的になってきました。手の変形に至らない、軽度の状態で治療が開始されることは、患者さんにとっては「いいこと」ばかりなのですが、医師にとっては経験が減ることはいいことではありません。

外科医は手術経験が、内科医は診断力・治療方針の多さが「腕」と言われる部分ですが、リウマチが薬でよくなってしまうと、外科医の腕が落ちる、リウマチを専門にしようとしている研修医が、「悪化したリウマチ」をイメージできなくなってしまいます。

医学の進歩は患者さんにとってはいいことばかりなのですが、治療者にとっては経験不足につながる面もあるのです。

WHOが地球上から流行終結を宣言した天然痘。教科書で学んだことはありますが、(当然ながら)患者さんを見たことはありません。類似疾患である「サル痘」の流行が報じられています。いま、患者さんが目の前に現れても鑑別する自信がありません。ですが、一生懸命情報を集め、皮膚所見や臨床経過を見直しているところです。

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