「先生、孫たちを叱りながら、泣いてしまいました。こんな幸せなことってないんだなって・・・」

 

だいぶ前になりますが、ある方からお聞きした話です。

この方のお嬢さんが交通事故にあわれ、緊急救命室で治療を受けられました。小学生の孫の面倒を見ながら、自分の命と引き換えでもいいから助かってほしいと強く願っておられたそうです。

治療の甲斐あり、娘さんは後遺症も残さずに無事に回復、そして、沈んでいた一家にも日常が戻り、また、いつものようにお孫さんを叱りながら思われたとのことでした。

 

外来ではいろいろなお話をお聞き出来ます。この方が経験されたことはとてもつらい出来事でしたが、

非常に普遍性のある出来事、見方を教えていただいたように思えます。

 

時々ですが、つらい経験をされている方に、この方の経験をお話しすることがあります。

日常があたりまえではないこと、あたりまえが実はとても貴重な日々であることを気づかせてくれるお話だと思います。

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患者さんのプライバシーを考慮し、実際の出来事を多少変更し記載していることがあります。