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「飲み薬」はなぜ難しいか

[2021.10.07]

コロナウイルスの「飲み薬」開発が進んでいるとの報道がありました。

薬は、体の中で一定の濃度を維持し、標的臓器で病原体に対して効果がなければなりませんが、そのためには、きちんと取り込まれ、一定の濃度を維持しなければなりません。

薬は栄養素と同様に腸の粘膜から取り込まれます。腸の前には胃を通るため、胃酸に薬が耐える作り方が必要で、かつ、様々な食材と一緒でもきちんと吸収されるように薬の構造を工夫する必要があります。

さらに、ウイルスは細胞内で増殖しますので、ウイルスそのものを「やっつける:ウイルス量を直接減らす」ためには細胞内に取り込まれなければなりません。しかし、これはかなり難しいハードルです。実は、インフルエンザウイルスに対する薬もありますが、これはウイルスを減らす効果はなく、ウイルスの「増殖を抑える」薬です。細菌は細胞の外で悪さをする病原体ですので、直接攻撃し、病原体そのものを減らす薬があります(抗生物質)。しかし、細胞内に寄生するウイルスに対してはそうした直接効果のある薬の開発は困難です。

世界中で研究が進んでいるウイルス薬。世界中でエイズウイルスの研究が進んだ際に、その効果を応用し、肝炎ウイルスの治療法も大きく進歩しました。世界中で研究が進んでいると思われますが、コロナウイルス内服薬も開発が待たれます。

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