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抗原検査を受けるときに気を付けること

[2021.10.09]

コロナウイルスの抗原検査が市販されるとの報道がありました。今まで「確定診断となりえる検査」として医療機関で使われていましたが、これが普通の人に回ります。「疾病診断」を(自分のこととはいえ)普通の人が行うことになります。診断には一定の責任が伴うので、すこし記載します。

我々医師の「診断」は、細かく言えば、検査の限界を知り、この症状でこの検査が陰性なら、この病気を疑う、陽性ならこの病気といった「次のステップ」が想像できる力とも言えます。当然その診断には「責任」が伴います。仕事を休ませると判断するにはそれなりに根拠のある臨床推論をしてアドバイスをしていますので、陽性、陰性の結果「だけ」をうのみにしないことが必要です。抗原検査はタンパクを検出します。タンパクが増えるまでの時間が短いと、「偽陰性」(本当は感染しているが感染していないと出ること)の可能性があります。ウイルス遺伝子を増殖して調べるpcr検査と違い、感度(病気を検出する力)は落ちます。

基本的には無症状の人が、感染の有無について調べるための使い方にすべきでしょう。「陽性判定の握り潰し」「偽陰性による感染拡大」に注意が必要です。陰性のつもりで調べたら陽性だった、でも代わりの人がいないので、会社に出てしまう。「陰性」と出たので、学校にいったが、実は検査タイミングが早すぎたために後で陽性が判明する。そうした気持ちの限界、検査の限界に注意が必要です。同様に、くれぐれも家族以外の検査結果について(陰性であっても)「大丈夫」「休まなくていい」いいといったアドバイスはしないほうがいいでしょう。

ワクチンを打っている方は、タンパクが出るスピードも遅くなる恐れがあり、抗原検査陰性の解釈には特に注意が必要です。ワクチン後の有症状者については、増幅操作のあるPCR検査が望ましいと思われます。

「結果が陽性なら、陰性なら、次に何をするか決めてから検査の指示を出しなさい。結果を見て次の動きを決めるのでは、指示を出す資格はないよ」指導医からよく言われました。これは知識の有無は関係ない考え方=「原則」です。知識がないから、わからないからではなく、診断装置を手にする以上、この「原則」を守って、結果を想像したうえで抗原検査を受けるべきだと強く思います。

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