OTC類似薬の保険はずしは医療費削減に役立たない
医師は目の前の患者さんに最善を尽くしたいと常に思っています。
来年度の診療報酬改定で、アレルギー薬など処方薬から市販薬になった薬(OTC類似薬)が保険診療から外される議論が進んでいます。花粉症の薬(エピナスチン・商品名アレジオン)や胃潰瘍の薬(ファモチジン・商品名ガスター)などが該当しますが、外来での会話を想像すると、「この症状ならこの薬が効きますよ。薬局で買って下さい」などと言うことになるのかもしれません。医療保険から外れますので、薬局での患者さんの支払いはかなり多くなります。
目の前に患者さんが来て花粉症や胃潰瘍の症状がある、でも保険診療で薬が欲しいとなった場合、私なら「じゃあ保険が効く薬を出しますね」と言うと思うのです。OTC類似薬は長期間使用され安全性や副作用が分かっている薬になりますが、新薬で評判のいい(副作用の報告が少ない)薬は診療現場ではたくさん出ています。そうした薬は値段は高くなりますが、それを保険を使って、1割や3割の負担で使えるのであれば、市販薬よりより安く効果のある薬を患者さんに提供できることになります。反面、医療費全体としては上がってしまい、削減の逆になってしまうのです。
一方で、新薬は「既存薬で効果が無い場合に次の手として使わなければいけない(最初に使えない)」などの「保険のルール」もあり、高い新薬を使えなくする予防策でもありました。ですが、これからは、保険機構側は(市販薬を使って無効であったか否かを)チェックできないことにもなります。これは、こうした保険上のルールも変わらざるを得ないことになってきます。
皆保険制度を守るため、医療費を下げようとする改革はとても重要です。早く効果的な、国民が納得できるような手段を探すことには協力したいと思っています。しかし、私には、現場の医師の感覚を無視した、OTC類似薬はずしは悪手に思えてなりません。
