駅ホームのクリニックと家庭医に求められるもの
西国分寺駅の中央線ホーム上にクリニックができるようです。待ち時間に小腹を満たす「立ち食いソバ」のお客さんがいるように、短時間で診療を受けたいニーズにこたえたものでしょう。
ただ、「診断」が必要な診療については、そう簡単にいくのか疑問です。この症状ならこの疾患、この薬で反応を見る。この薬で効果がなければ、次はこの病気か・・・。医師の頭では診断プロセスがいつも回っています。初診患者さんほど、事前情報が少なく、診断には時間がかかります。そうした診断をつける病気・診療を短時間が求められる駅のホームで行うことはできるのだろうか?開業前ですが、余計なことを考えてしまいます。おそらく、来院される方も「診断をつけるため」というより、いつもの薬を、できるだけ、短時間で手にしたい。との理由で受診されるのでしょう。
立ち食いソバも、時間ギリギリに出てくるようでは怒られます。待ち時間なしで、電車の出発に合わせての診療をするためには医師の「診断プロセス」「検査」なども限られてしまいそうに思えてなりません。
あえて共通点を探せば 手軽に掛かれる 点くらいでしょうか?同じところで、同じ集団を、永く、診続けることが家庭医の診療であり、私は医師としてのやりがいもそこに感じています。どうやら「駅ホームクリニック」に求められている点は、家庭医とは真反対の診療スタイルなのでしょう。
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