過去の戦争が現代につながる場所
NHKで太平洋戦争「国家総力戦」の番組を見ました。庶民や学者、軍人など市井の人の記録からどのような出来事があったのか追体験できるような質のいい番組でした。
指導者が道を誤ると、その下で生きる国民はどうあがいてもその政策から逃れられない。ウクライナで戦争が始まった頃はその理不尽からウクライナの市民の視点しか持ちえませんでしたが、徐々にロシア側の情報も報じられるにつけ、この番組からロシアの国民がこれからどのような生活や感情に動いていくのか?想像できるようです。市井の人はおそらく右往左往しながら日々の生活を送っていくしかないのだろうと思えました。
柏から車で50分ほどになりますが、阿見町に「予科練平和記念館」があります。競争率40倍ともいわれる昔の受験(高等教育が一般的ではなかった時代、お金のない庶民は軍人になるしか高等教育を受ける場がなかった)ですが、そこで暮らす中学から高校生世代の男子たちは(携帯こそありませんが)今と全く同じような感覚で生活をしていたことがうかがい知れます。(「予科練 試験問題」などと検索すれば当時の彼らがどれほど高度な数学や地理・歴史など知っていたかわかります)町で一番の秀才と言われた彼ら。飛行機乗りとして厳しい訓練を受けたのち、彼らには特攻隊員として戦場に送られる運命がまっています。
非常に優秀な若者を、国が募集し、戦場でむざむざと死なせていた事実を目の当たりにすると、ロシアの優秀な若者たちに同じ運命が起きないことを願わずにはいられません。
展示自体は特に恐ろしいものではありません。日常写真などが展示されていますが、最後の部屋で紹介される展示動画をぜひ見ていただきたいと思います。多くの「特攻隊員」ではなく、一人ひとりの存在があったことををきちんと考えるような印象的な展示になっています。