様々な視点を与えてくれる映画
ハンセン氏病をご存じでしょうか?今の日本ではほとんど見なくなりましたが、昔の日本では結核と並んで恐れられていた感染症です。日本では「らい予防法」により戦前から患者隔離政策がとられてきました。昭和の初めに生まれた宮崎かずゑさんは、この病気に感染、10歳で施設に入り、施設内で結婚、いまも90歳でご存命です。その姿をありのままに伝えてくれるかずゑ的という映画を見てきました。
病と人生、夫婦、差別、教育さまざまな感想が浮かびますが、10歳の少女が家から警官に連れられて、橋のかかっていない島の施設に入所、その後も病気で身体的なハンディを負っても夫とともに生きてきたかずゑさん。10歳までに注がれた愛情と(高等教育はうけていないものの)知への力で文字通り生き延びてきた、魅力的な人間が描かれています。70歳後半でパソコンを知り文章を書き始め、みすず書房から本が出版され、監督の目に留まって全国の人が知る映画になった、人のしなやかさや知性のすばらしさを感じられました。
また、人が行ってきた感染症への残酷な戒めとして、次の感染症に備えて普遍的なメッセージを持った映画でもあります。
予告編(2分)
https://youtu.be/BieuL2YNh60?si=n92g1RqgO6G2UO5j
(名画座のある柏はありがたいです)