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感染拡大の場で嘘をつくということ

[2022.01.24]

友人のクリニックで起きた出来事です。

一般待合で診察を受けていた患者さんが、数日後にコロナ陽性と判明したそうです。その際の聞き取りで、実は定期受診の際にのどの痛みの自覚症状があったが「発熱外来」に回され待たされるのがいやだったので、そのまま通常の患者さんに混ざって受診をした事実を聞きました。自覚症状があるにもかかわらず、自己都合を優先し「嘘」をついたことになります。

診療は誠意と信頼がなければ成立しません。友人のクリニックでも全員に体温確認を行っていたそうですが、自覚症状なしと言われればそれを信用して診察を行います。10代後半の若い方だったそうですが、高齢者など他の方に感染させた場合、最悪死亡する原因になるかもしれない。そうした想像は働かないのでしょうか? クリニックがクラスターとなり、休診になれば、通っている地域の患者さん全員が困ることが想像できないのでしょうか?18歳からは成人との議論が進んでいますが、それ以前であれば、監督責任は親にあります。親御さんは、お子さんからこの話を聞いて、重大なことをしたと思わなかったのでしょうか?

さらに、こうした「不誠実な嘘」は我々医療職の「心を折る」行為でもあります。連日、感染可能性のある鼻汁検体を扱っているスタッフも家に帰れば小さなお子さんがいる親です。医師としての自分も文字通り身を呈して発熱外来を行っているのに、なんだか馬鹿らしくなってきたよ。友人はそう言っていました。

医療機関で嘘をついても、一つもいいことはありません。特に感染症の現場では他人を巻き込みます。

友人の身に起きたことですが、二度とこうしたことが起きないようにと思わずにはいられません。どうかどの医療機関であっても、虚偽の申告は行わないでください。心からお願いします。

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