妊婦さんと赤ちゃんのインフルエンザワクチン(その3)
前回からの続きです。
定期接種ワクチンがあるために、インフルエンザワクチンは打てないと考えていたお母さんの話です。
ワクチンは、いままで接種間隔を必ずあけるように決められていました。しかし、混合ワクチンが開発され、長期にわたっての安全性が認められたこと、諸外国ではすでに2本、3本の同時打ちが当たり前となり、同時に多種類のワクチンを接種してもやはり全身性の大きな副作用は無いことが分かってきました(接種面皮膚の反応はあります)
この点を踏まえ、2020年10月より、日本でもワクチン接種のルールが大きく変わりました。国際的な基準に近くなったと言えます。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンなので、たとえ同日でも他のワクチンを受けることができるようになりました。9月30日まではこうした接種は認められていませんでした。
1日で体やワクチンの仕組みが変わることはありません。それでも、この通達を医療現場で守るのは、万一副反応・副作用が出た場合、決まりに沿った接種をしていれば、きちんとした補償が受けられるためです。
妊娠中には(添加物のある)インフルエンザワクチンが打てなかったお母さん、逆に、制度が変わったことでワクチンを受けることができた赤ちゃん、当院もワクチン廃棄を防ぐことができた事のお話でした。
医学知識のみならず、保険診療や制度のルールをきちんとキャッチアップし診療に繋げる必要性を感じた経験となりました。
<厚労省 接種間隔のルール変更について>