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ワクチン接種開始にむけて

[2021.05.05]

クリニックのブログですので、患者さんを不安にさせるような内容は書きたくありませんが、今回は本音を記載します。

私も他の先生方と同様、地域に貢献するためワクチン接種を開始しますが、友人たちのブログを見ても、プライマリケア医は困惑しながら実務に当たっています。理由は、国のシステムがかなり複雑なためです。ワクチンの接種という実務だけではなく、接種予定ワクチンの請求、使ったワクチンの報告などを「一人ずつ」「ネットで」する必要があります。この「一人ずつ」にはクーポンの番号が使われますが、配布の優先順位があるため、地域に何人くらいクーポンの配布がなされているのか、わからないままワクチンの発注をしなければなりません。貴重なワクチンを追跡したい戦略は理解できるのですが、事務的作業が実に多いシステムと付き合わなければなりません。

〇2回目より1回目を優先とする方針を出すべき

これはワクチンの性質によるものですが、3週間後に2回目を打つ特殊性が事態を難しくしています。規定通りに打つなら、最初の3週間を打った後、次の3週間は「新患を受けられない」ことになります。一バイアル6人とすると、1週目に毎日6人ずつ打つとしても、3週間目には同じ人の2回目となります。このとき、発熱などでキャンセルした場合はどうでしょうか?新たに一人だけ1回目を加えるとなると、その人の分がズレたまま、新患と2回目が混在し、いつまでもそのズレは改善できません。広く国民に接種を開始するのであれば、この3週後に2回目の枠をもう少し緩やかにし、その告知も十分行うべきでしょう。ヨーロッパ各国では6週間から12週間延ばす事の勧告を行っています。

21年4月15日NHK報道

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210415/k10012975491000.html

「(仏 ワクチン2回目までの間隔 最大6週間に延長)2回目の接種の時期について、イギリスは遅くとも12週間後までとしてきたほか、ドイツでは専門家委員会が6週間後に行うよう勧告し、イタリアでは最大で6週間後まで延ばせるようになっています。」

〇一般診療や発熱外来があり、市民検診も始まります

有資格者が資格に沿った役目「だけ」で済むようなシステムが作れなかったのか?病院のように事務職員が大勢いる職場しかイメージできなかったのでしょうか?現場が慣れている「インフルエンザワクチン」のような仕組みづくりが困難であれば、やはり集団接種に早く舵を切って有資格者を効率よく使うようにすべきでしょう。

クーポン配布が多くなれば、接種機会も増やすことは考えています。しかし、上記システムの問題、また、接種後の安静確認を行う場所の問題、発熱者との時間分離など、いち医院で処理できる役目には限りがある中でのコロナワクチン接種開始となります。

集団接種は国も早く準備を進めているのだと思いますが、変異株が東京でも増えている中、接種数を増やすように急ぐ必要があります。

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