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なんにも「わかっていなかった」こと

[2022.04.01]

看護師国家試験の発表があり、入職に向けた診断書記載で来院される方が増えています。

働く場は違いますが、医療職でともに働ける「同僚」に心からエールを送ります。

コロナ流行が始まった頃、ブログでロシアの捕虜になった老医師の話を書きました。

(こんな時こそ学生は医療現場を目指してほしい)https://hoshino-family.com/?p=2180

その時には、医療の普遍性・プロフェッショナリズムはどんな時でも実行される「はず」だと思っていました。たとえ捕虜であっても医師である以上、誠実な「診療」が(戦う敵に対しても)なされたのだろう思っていたのですが、ウクライナでの現実を知るにつれ、それは浅い理解で、私はなんにもわかっていなかったのではないか?と感じています。

捕虜となり健康相談や診断を求められた場合、自分や仲間に銃を向けた相手に、はたしてきちんとした判断ができるのだろうか?診断が的確で優秀な医師と判定されたなら、将校の部隊とともに「連れていかれる」リスクもあるのではなかろうか?医師の捕虜とはいえ、敵兵である相手もその診断・アドバイスに素直に従うのだろうか?

医師であるまえに、捕虜という立場、仲間を殺された兵士の立場で戦場に行っていた、私はその役割を想像する力が甘かったと思います。とくに病院への攻撃映像を見るにつけ、診療とはつくづく平和でないと、そして相手との信頼関係がないと成立しない行為であると感じるようになりました。

今年から医療現場に出ていく新人さん、彼らが退職するその日まで、(感染や災害の医療はあるとしても)この地で紛争下の医療が行われないことを祈ります。

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